| 1. | ヒューマンエラーにかかわる人事方針の決定
エラーは処罰によっては減りません。しかしエラーの申告者が自らの判断や行動を分析して報告し、職員全員でエラーの原因を共有できるように知識化すれば、医療安全対策に大いに貢献できることに注目し、当院では、エラーを積極的に報告できる風通りのよい院内文化を育成し、エラーの再発防止に役立てるため、「十分注意していたにも拘わらず発生したと判断するヒューマンエラーは懲戒の対象としない」方針を決定しました。また、医療安全会議において、各種エラー事例などの分析・報告を行い、知識の共有化と再発防止に寄与した職員を積極的に人事評価しています。
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| 2. | 超過労働防止調整休日などの労務施策と、業務の効率化で長時間労働を排除
厚生労働省の調査では、医療事故につながりかねないミスが全国の主要病院で約、年間に計2万2千件以上も報告され、ミスの要因として「確認不足」が半数を超える一方、長時間勤務などによる疲労・過労を原因に挙げるケースも2割に達しています。あゆみクリニックは、2006年度から「長時間労働排除の取り組み」として超過労働防止調整休日を通常の休日以外にもうける試みや、深夜残業の禁止、休憩時間80分以上の徹底などを実施しています。こうしたルールの遵守とあわせて、「業務の効率化」に組織的に取り組んでいます。職員一人ひとりの配置と業務内容や休日を計画し、その計画に基づいてシフト表を作成することにより、職員が自主的にかつ効率的に日常の業務管理・計画ができるように4W先までの勤務の姿の見える化などの対策をすることで、各職員が自ら業務を推進する時間の配分を計画し推進することで効率化ができ、残業をなくすことにより私生活の質(QOL)の向上を実現することで、患者さんへの対応や最良の医療を提供するよう配慮できる習慣を身に付けられるようしています。あゆみクリニックは、今後も職員の疲労による医療ミスの排除に向けた取り組みや業務の効率化の取り組みを継続するとともに、安心・安全で質の高い医療へ終わりなき追求に努めます。
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集合研修は毎年3月、5月、9月に正職員は全員泊まり込んで行われま
す。講師は、全て職員自身が行いますが、開業理念、業務手順、業務知識、冬季の混雑対策やインフルエンザ対策について学んでいきます。研修の中には、業務におけるロールプレイプログラムが組み込まれており参加した職員は数多くの貴重な経験を積むことにより、医療の質のレベルアップを図るとともに、中堅職員は初心に帰る事で医療の安全の重要性や注意事項を再認識できます。また夜間には職種間を超えて院内の問題点や改善点などのディスカッションも行われ、チームワークやチーム医療の重要性を体感し、職員間の絆を深めていきます。

月1〜2回のペースで職種を問わず積極的に勉強会を行っています。内容は新しく発売になった薬や当院で新しく扱うことになった薬について勉強会を実施することで、職員全員の薬剤の知識レベル向上を行い、受付の職員が院外処方箋の疑義紹介に対応出来るようにしております。
当院の要の基幹人材である管理栄養士については各レベル段階において(離乳指導⇒アレルギ-指導⇒慢性疾患指導)医師の直接指導のもと栄養学と医学と整合性を持たせた栄養指導(食事指導)の実施の為、ロールプレイング(疑似体験訓練)を繰り返し実施され、内容についても検証し、指導内容の改善を行っております。このトレーニングは単なる栄養指導の技術的なレベルアップに留まらず患者さんとのコミニケーション力のアップに力点を置き、押しつけの食事指導や運動指導ではなく、患者さん一人ひとりの生活歴や習慣に合せた指導・改善に結びついています。
一言に医療安全の教育としても、忙しい医療現場で実際にそれを確実に実践するのはとても難しいことです。当院でもメディカルリスクマネージメントという言葉は先行し、各現場で実行されていますが、それが院内の全体システムとしてはまだまだ確立されていません。大切なのは、貴重な現場のヒヤリハットや失敗の体験から今後の行動に繋げて未然に防いでいくことです。現場で起きている問題点を正確に把握して、一つ一つ地道に問題を「見える化」し「カイゼン」していくことです。この「カイゼン」システムを確立するためには、まず大小にかかわらずミスや患者さんからの苦言、ヒヤリハットの現場の報告からですが、報告件数を上げるための、職場環境、雰囲気を改善することや職員全員の教育・啓発を行い、安心・安全で質の高い医療の実現プロセスの必要性を粘り強く職員に向け語りかけ自らをも謙虚に改善していくことが医師であり院長である私の役目だと痛感しています。