原則入院対象の方は、療養施設や病院へ入院措置となります。
当院の発熱外来で抗原検査・PCR検査にて陽性となった場合(埼玉県の場合)は、原則療養施設(ホテル等)や感染症指定医療機関へ入院・治療となっています。最終的には、病床や施設の空室状況や接触歴・発病の有無や時期などを総合的に行政が判断し、病床や施設の空き状況によりご自宅での療養、治療となる場合もあります。
あゆみクリニックは、通常は、感染症病床を持っておりませんので、入院治療ができず行政との連携にてご自宅での療養になった軽症の方の投薬や安否確認などの療養支援治療をしますが、万が一病床が不足し在宅療養者が多数発生した状況下では、中等症の方も可能な限り入院が出来るまでの間できる限り治療を対応いたします。
ここでは、万が一に在宅で療養をする場合の当院の治療手順を記載します。
治療の手順
治療の手順としては、陽性確定診断をした後、基礎疾患の有無や年齢、病歴をお聞きし(下図①〜⑤)リスク度と(下図⑥⑦)病状を勘案し病状の分類をまず行い治療を開始します。
入院勧告・措置の対象者(改2020.10.24)
- 65 歳以上の方
- 呼吸器疾患を有する方
- 腎臓疾患,心臓疾患,血管疾患,糖尿病,高血圧症,肥満その他の事由により臓器等の機能が低下しているおそれがあると認められる方
- 臓器の移植,免疫抑制剤,抗がん剤等の使用その他の事由により免疫の機能が低下しているおそれがあると認められる方
- 妊婦
- 現に新型コロナウイルス感染症の症状を呈する者であって,当該症状が重度または中等度である方
- 上記①〜⑥までに掲げる者のほか,新型コロナウイルス感染症の症状等を総合的に勘案して医師が入院させる必要があると認める方
- 上記①〜⑦までに掲げる者のほか,都道府県知事が新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するため入院させる必要があると認める方
症状の分類
軽 症
酸素飽和度(SpO2)96%以上、呼吸器症状なし・咳のみで息切れのない状態の方
多くは自然軽快しますが、
急激に病状が進行することもあり、リスク因子(高齢や基礎疾患あるなど)の高いと判断した患者さんは、「入院」を行政に対し行い、ホテルなどの施設や病院で療養・治療となります。
※自宅療養者に対しては、投薬・治療を行います。
※限定されますが、ロナプリーブ(抗体カクテル療法)の対象の方でご希望のある場合は、当院の発熱外来受診当日に投薬を実施します。
※下記発熱外来にて使用する薬剤についての下記載のロナプリーブを参照。
中等症 Ⅰ(呼吸不全なし)
酸素飽和度(SpO2)93%超96%未満、息切れがあり、肺炎所見が見られる状態
原則、当院より行政に入院要請を行い、入院の上で慎重な病状観察を行って発熱や呼吸器症状への対症療法が必要となります。
※病床へ入院または、施設に入所が出来ない状況(病床崩壊)の場合は、当院で陽性判定した方について重症化予防の投薬や点滴を行い患者さんが療養または病院へ入院が出来まで対応いたします。
中等症 Ⅱ(呼吸不全あり)
酸素飽和度(SpO2)93%以下の病状の方
通常「高度医療を行える施設への入院」を検討することも必要のため当院より行政に入院要請を行い、入院の上で慎重な病状観察を行って下記の治療対応の検討が必要となります。
酸素マスクや経鼻カニューレによる酸素投与を行います。
→ 呼吸不全の原因を推定し、ネーザルハイフロー(鼻から高流量・高精度の酸素を投与する呼吸療法)やCPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)などは避け、エアロゾルの発生や抑制を試みます。
→ 急速に増悪(肺浸潤影の急速進行など)する場合には、ステロイド(デキサメトゾン等のステロイド)の投与の検討を行います。
→ 酸素マスク使用等でもSpO2が93%を維持できなくなった場合、挿管を考慮する必要があります。(通常よりも早めの挿管、人工呼吸管理が望まれるとされています。)
→ 細菌性肺炎、ARDS(急性呼吸窮迫症候群)、敗血症、心筋障害、不整脈、急性腎障害、血栓塞栓症、胃炎・胃十二指腸潰瘍の併発に留意する必要があります。
※ 病床崩壊が発生し、入院が出来ない社会的状況の場合に限り、当院で陽性判定した方については、かかりつけ医の責に従い通常は入院が即必要な中等症で患者さんであっても在宅酸素療法や重症化予防のステロイド剤の投薬や点滴を行い、また在宅酸素療法の導入を含め患者さんが病院へ入院治療ができるまで対応をします。
※病床崩壊時は濃縮酸素機器が不足する場合があり、調達に最善を尽くしますが、在宅酸素量堂が出来ない場合もあります。
入院・入所が出来ない方の自宅療養について
感染第5波以後、県を含め各市町村自治体や医師会の努力により病床は増えており、懸念する必要性は減少しましたが、感染第5波においては、病床の使用率も70%を超え多くの自宅療養者が発生し、当院においても必然的に多くの中等症Ⅱ 程度の患者さんの自宅療養を支援せざるを得ない状況まで追い込まれました。
その経験を活かし万が一の事態には、かかりつけ医としての職責を果たすべく、微力ながら行政機関と連携し在宅酸素療法やステロイド薬の投与や点滴などを駆使しながら病院への入院までの期間、微力ながら自宅療養者の支援、特に重症化予防に最善を尽くします。